遺言書を作成し、遺産分割協議を不要とする

遺言書を作成し、遺産分割協議を不要とする

遺言書を作成する目的は、突然相続発生した時に必要な、遺産分割協議を不要するためのものです。遺言書がない場合は、土地建物の名義変更や、銀行口座凍結解除などのため、相続人全員で遺産分割協議し、全員の合意のもと変更手続きを進めなければなりません。しかし、障害のある(判断能力不十分)お子さんがいらしゃる場合、お子さんは遺産分割に参加できません。なぜなら、法律が判断能力が不十分な人の利益が害されないようにを守っているからです。そこでお子さんのために、家庭裁判所に成年後見人選任の申し立てをしなければなりません。ただし、一度お子さんに成年後見人が選任されるとその後取り消すことはできませんので、費用が一生発生することになります。
そのため、遺産分割協議をせず、お子さんに成年後見人の選任を先延ばしするため、遺言書を作成し、遺言書に基づいて相続手続きを進めるためのものです。

  • 遺言書とは、亡くなった人の意思表示をしめした書類のことです。
  • ただし、その遺言書を法的に有効なものして、扱うには法律のルールに沿った書類である必要があり、この法的要件を満たさないものは、残念ながら、無効となります。

遺言書の種類は3種類

1.自筆証書遺言

  • 亡くなる人が、自分で自筆で作成する遺言書です。
  •  遺言書の全文,遺言の作成日付及び遺言者氏名を,必ず遺言者が自書し,押印します。
  • 遺言の作成日付は,日付が特定できるよう正確に記載します。
    例)「令和4年1月吉日」は不可
  • 財産目録は,自書でなく,パソコンを利用したり,不動産(土地・建物)の登記事項証明書や通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが,その場合は,その目録の全てのページに署名押印が必要です。
     
  • メリット
    ・費用がかからない。
    ・手軽に作成できる。
    ・いつでも書き直しができる。
  • デメリット
    ・遺言者が亡くなったあと、遺言書が紛失し発見されない場合がある。
    ・法的要件を満たさず、無効となる場合がある。
    ・本人が亡くなったあと、家庭裁判所に検認の申し立てが必要となり、
     残された相続人に苦労をかける。
    ・全文自筆で書くには大変
    ・本人が本当に書いたかどうかの筆跡鑑定など、有効、無効の争いに発展することもある。

2.公正証書遺言

  • 公証人役場で、公証人が作成する遺言書です。
  • 遺言者のお話しを公証人がお聞きし、公証人が遺言書を作成し、遺言者がなくなるまで、公証人役場で保管されます。
  • 2人以上の承認に立ち合いは必要です。
  • メリット
    ・法律の専門家である公証人が作成するので、遺言書が法的に無効となる可能性はかなり低い。確実に相続手続き進めるための遺言書を残すのでしたら、この公正証書遺言をお勧めします。
    ・公証人役場で遺言書を保管してくれるので、紛失の心配がない。
    ・本人が亡くなったあと、家庭裁判所への検認の申し立て不要
  • デメリット
    ・費用が発生する。(財産の額に応じ、手数料が発生)
    ・公証人役場作成するので、公証人役場に出向くか、出向けない事情がある場合は、公証人に来てもいただく必要がある
    ・2人以上の証人は必用となる。(遺言者の推定相続人や受益者、これらの配偶者、直系血族は証人にはなれません。)